科学はマジックじゃないのよ　はっはぁー

NASAが今月の頭にヒ素を取り込んで成長する細菌について、ネット上で否定的な意見や疑問が続々と上がっている。
これはおもしろい。
NASAの研究チームが「地球外生命の発見に繋がるものだ！」と胸を張ってぶち上げたものに、みんなして「ほんとかよ」と言っているわけだ。

経緯としてはカナダの微生物学者ロージー・レッドフィールド氏が
「この論文の著者は、単に無能な科学者なのか。それとも、『地球外生命を発見した』と大声で叫びたがるNASAの片棒をかついでいるのだろうか」
と、ブログでかなりきつい書き方で異論を唱え、そこから数々の異論が出てきたらしい。

こういう場合は日本と同じ、レッドフィールド氏のブログに人々が殺到したそうだ。
ただ日本でよくある醜い論争、いわゆる「ウンコの投げ合い」とはだいぶ内容が違うだろうけど。

そして米ハーバード大学で微生物を研究する大学院生がブログで、「同じ大学の生物地球科学研究者アレックス・ブラッドリー氏が新たな細菌に関するNASAの発表は誤りだらけの可能性があると指摘している」と紹介したそうだ。

そして論争が広がるとメディアも黙ってはいない。
当然こういう話は取り上げて煽ろうとするのがメディアだ。
ハイテク情報誌Wired、ABCニュース、コロンビア・ジャーナリズム・レビューなどなど、多くのメディアが取り上げる事になったそうだ。


しかしこればっかりは、実際に研究して実証しない限り勝手な事は言えない。
ましてや門外漢、専門の人間がそれこそ朝から晩まで何ヶ月・何年とやってきていることを、それをやってない人間がどうのとは言えない。
誰かが、というか同分野の複数の人間が細菌を手に入れて同様の研究をして再検証をしてこそ、初めて大勢の意見が出来る。
ただその再検証の動きもすでに出ているようだが、それが終わるまでに数ヶ月から数年かかるらしい。
さすがにちょちょいのちょいとはいかない。


研究を主導したNASA宇宙生物学研究所のフェリッサ・ウルフ・サイモン氏やNASAはメディアの質問に直接回答は拒否している。
まあ当然だろう。これを受け始めたらキリがなくなる。
ただサイモン氏は自身のブログに「活発な議論は歓迎する」と書き、現在数多く寄せられた質問に関する回答集をまとめていると明かしているそうなので、そのうちに回答が出るだろう。
ただし回答が出れば、それに対しての反論や質問がまた出るだろうから、やはりキリはないと思うが。

またネットの論争は、論争があること自体はまったく面白いしいいことなんだが、その議論が同レベルの少数ではなく、専門家から素人までの不特定多数になるから、内容的に収拾が付かなくなったりする。
それでも論で争っているうちはいいが、ただの悪口や中傷に走り出す人間が出てくる。
まあ日本ではそればっかりだ。
内容が内容だけに、まったくワカランチンが参入してくるようなもんじゃないだろうが、向こうではどうなんだろう。
少なくとも今はなかなか面白い議論になってるみたいだな。